第62回日本栄養・食糧学会 | 発表報告

イベント情報

2008年5月2、3、4日の3日間、埼玉県にある女子栄養大学にて第62回日本栄養・食糧学会が開催されました。連休中で初日は雨というコンディションにもかかわらず、約2,800名(内、学生100名)と大勢の方が参加されました。

第62回日本栄養・食糧学会

今回の学会のテーマは、「食・栄養・健康の新しいトポスを拓く」と題して行われました。

アークレイ株式会社は今回の日本栄養・食糧学会において、「β-クリプトキサンチンを高含有するミカンエキスがメタボリックシンドローム予備群のヒトに及ぼす影響」という題で発表を行いました。事前に日本栄養・食糧学会側から発表されたプレスリリースにおいても、発表演題の中から我々の演題が選ばれ、紹介していただきました。

発表当日は午前の早い時間でしたが、大勢の方々に聞いていただき、ヒトでの臨床試験結果の有用性を改めて認識させられました。

発表要旨は以下の通りです。

目的

古くから日本になじみの深い果物として広く食されてきた温州ミカン(Citrus unshiu Marc.)の果実には、他の農作物と比較してβ-クリプトキサンチン(β-CRP)が多量に含まれている。そして、β-CRPの最近の研究において、レポーターアッセイおよびDNAマイクロアレイ解析から、PPARγのアンタゴニスト作用並びに脂質生成に関わる遺伝子の発現量を減少させることが認められた。

そこで、今回はβ-CRPを高濃度で含む、温州ミカン果実窄汁液から得られる不溶解画分のペースト(ミカンエキス)を用いて、メタボリックシンドローム予備群のヒトに及ぼす影響について検討した。

方法

被験者は、ウエスト周囲径が85cm以上で血液検査の脂質代謝項目などに異常があるメタボリックシンドローム予備群の成人男性7名とした。本エキス25g/日(β-CRPとして15mg/日)をミカン風味飲料として8週間連続摂取し、摂取前、摂取4週後と8週後に尿、血液検査、身体計測および診察を行った。

なお本試験はヘルシンキ宣言の精神に則り、治験審査委員会の承認を経て、東京都内医療機関(ヒト試験責任医師:同院 院長)で実施され、被験者は試験の内容を十分に理解し、同意書を提出して自主的に参加した。

結果および考察

摂取前から摂取8週後の変化は、総コレステロールは250.1±13.3→232.1±16.6mg/dLと有意に減少し(p=0.015, Dunnet)、またnonHDLコレステロールも197.1±18.5→183.1±19.4mg/dLと有意に減少した(p=0.027, Dunnet)。

β-CRPの作用として、DNAマイクロアレイ解析で sterol regulatory element binding factor 1などの脂質生成に関わる遺伝子の発現量を減少させることが報告されていることから、本結果との関連が推察された。

以上により、本エキスはメタボリックシンドロームや動脈硬化の予防および進展阻止に有用である可能性が示唆された。

今回の学会では、この4月から開始された特定健診(いわゆるメタボ健診)などにも見られるように、世の中の注目が高まってきているメタボリックシンドロームに関する発表が数多くありました。その中でもβ-クリプトキサンチンに関したヒトでの有効性試験の結果が他社からも発表され、β-クリプトキサンチンの人における有効性に関する知見が増えつつあり、今後のβ-クリプトキサンチンの認知度の向上に少なからず貢献できたのではないかと思っています。

アークレイ株式会社では、今後もβ-クリプトキサンチンのメタボリックシンドロームに対する作用メカニズムの解明と人での有効性試験を更に進め、より信頼性の高いエビデンスを提供するとともにβ-クリプトキサンチン高含有原料「クリプトベータ」の販売に努めてまいります。

ご多忙中にも関わらず、発表にお越しいただいた皆様におかれましては、誠にありがとうございました。

リリース全文ダウンロード

本発表のプレスリリースはPDFファイルでもご覧頂けます。

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