シークワーサーのメタボ予防作用を第39回日本動脈硬化学会総会で発表

プレスリリース

シイクワシャー果実
ノビレチン構造式

アークレイ株式会社は、沖縄で栽培されている柑橘(カンキツ)であるシイクワシャーの果皮エキスが内臓脂肪型肥満のヒト血中アディポネクチンを増加させ、メタボリックシンドロームや動脈硬化性疾患の予防に有用である可能性を見出しました。
その研究成果を第39回日本動脈硬化学会総会・学術集会(7月13日~14日開催)にて発表しました。

研究の概要

アークレイは、国内大手の臨床検査機器と体外診断薬のメーカーで、糖尿病患者が使用する血糖自己測定機では国内シェア60%を占めています。健康科学という独自の事業領域を設定し、2006年6月には機能性素材事業への参入を果たしています。

当社はこれまで柑橘類に含まれる機能性成分について研究を進めてきました。特に沖縄で栽培されているシイクワシャー 1) に多く含まれるノビレチン 2) について培養細胞およびマウスを用いた研究から、アディポネクチン 3) の増加作用を確認していました。

このたび、内臓脂肪型肥満のヒトへのシイクワシャー果皮エキスの摂取試験(ダブルブラインド並行群間比較試験 4) )を、京都大学大学院、生物系特定産業技術研究支援センター(生研センター)、京都市立病院との共同研究にて実施いたしました。

その結果、シイクワシャー果皮エキス摂取群では血中アディポネクチンが有意に増加することを確認しました。以上の結果から、シイクワシャー果皮エキスはメタボリックシンドロームや動脈硬化性疾患予防に有用である可能性を見出しました。

この研究成果につきまして、第39回日本動脈硬化学会 5) 総会・学術集会(大阪)にてポスター発表いたしました。

発表概要
・日時:2007年7月14日(土) 9:30~12:30
・場所:大阪国際会議場
・演題:シイクワシャーエキスが内臓脂肪型肥満のヒトに及ぼす影響
・演者:アークレイ株式会社 からだサポート研究所
     京都大学大学院農学研究科 食品生物科学専攻 食品分子機能学分野
     (独)農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センター
     京都市立病院 糖尿病・代謝内科

シイクワシャー果皮エキス含有食品のヒト試験研究内容

1. 方法

  • 試験デザイン:ダブルブラインド並行群間比較試験(プラセボ食摂取群を対照)
  • 被験者:CT による計測で内臓脂肪面積が100cm2以上の成人男女(男性:27名、女性:5名)
  • 年齢:42.3±10.9 歳
  • BMI:29.2±3.8 kg/m2
  • 内臓脂肪面積:143.5±38.1 cm2
  • 被験食:ハードカプセル食品 3,300mg/日(シイクワシャー果皮エキスとして)
臨床試験デザイン

2. 結果

(1) アディポネクチン

アディポネクチンの変動

摂取前から摂取8週後の血清アディポネクチンの変化は、被験食群(n=16)が3.7±1.2→4.2±1.4μg/mLと有意に増加し(p=0.022)、プラセボ食群(n=16)は4.1±1.4→4.0±1.5μg/mLと増減しませんでした。群間の比較においても、被験食群の変化量はプラセボ食群のそれに比べて有意に高値でした(p=0.019)。

3. まとめ

シイクワシャー果皮エキスは内臓脂肪型肥満のヒトの血中アディポネクチンを増加させ、メタボリックシンドロームや動脈硬化性疾患の予防に有用である可能性を見出しました。

語句説明

1) シイクワシャー
沖縄特産のカンキツのことで、学名はCitrus depressa HAYATAです。シイクワシャーとも呼ばれています。果実の平均的な大きさは短径3cm、長径4cmの楕円形です。主な使用用途としてはジュース原料ですが、近年その用途は拡大しています。
2) ノビレチン
カンキツ類に含まれるフラボノイド類の一種です。フラボノイドの中でも複数の水酸基がメトキシ基に置換されたポリメトキシフラボノイドに含まれます。カンキツの中でも特に、シイクワシャーに多く含まれ、抗ガン性、抗アレルギー性などが報告されています。
3) アディポネクチン
脂肪細胞が分泌するアディポサイトカインの一つで、インスリン感受性を改善させて抗糖尿病作用を示し、血管に直接働いて抗動脈硬化作用を示すことが報告されています。
4) ダブルブラインド並行群間比較試験
臨床試験の方法の一つです。「ダブルブラインド」とは、被験者本人も臨床試験のスタッフも被験食かプラセボ食かのどちらを摂取しているのかを伏せて試験をする方法のことです。「並行群間比較試験」とは、今回の場合、被験食群とプラセボ食群の2群に分けて同時期に一緒に臨床試験をして比較する方法のことです。非常に信頼性が高いと認められている方法です。
5) 日本動脈硬化学会
1972年動脈硬化の成因、予防、治療を研究する目的で約100名の研究者が集まり研究会を設立し、1974年、学会として発足しました。動脈硬化について、基礎、臨床の分野からのみならず、栄養、統計、農学等あらゆる分野の人々が集まり、動脈硬化の成因を探るとともに、その予防、治療をどうやって進めていくかを研究することを目的として活動している会員数約2,200名(2005年現在)の学会です。

研究の背景

アークレイは、厳しい食事制限下にある生活習慣病患者や健康を意識する方々に様々な商品を提案し、物質面と精神面の両方をケアすることでQOL(Quality Of Life=生活の質)の維持・向上に貢献する活動を進めております。また、2006年6月には機能性素材ビジネスへの参入を果たし、本事業を通じて、自社技術にとらわれず、幅広く社会に貢献する活動を進めております。

「2005年国民健康・栄養調査」(厚生労働省)の中で、40~74歳の中高年男性の2人に1人、女性の5人に1人がメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の該当者か予備群であることが公表されました。また、来年度からは国の生活習慣病対策として、メタボリックシンドロームに着目した特定健診・保健指導が全国で開始されることになっており、ますますメタボリックシンドロームに注目が集まっています。

このような背景において、当社はこれまで柑橘類に含まれる機能性成分について研究を進めてきました。特に沖縄で栽培されているシイクワシャーに多く含まれるノビレチンについて培養細胞およびマウスを用いた研究から、アディポネクチンの増加作用を確認し、メタボリックシンドローム対策素材として各種展示会などを通じて発表してまいりました。

このたび、内臓脂肪型肥満のヒトへのシイクワシャー果皮エキスの摂取試験(ダブルブラインド並行群間比較試験)を京都大学大学院、生研センター、京都市立病院との共同研究にて実施いたしました。

今後の展望

今回の試験結果およびこれまでの基礎研究成果をもとにシイクワシャー果皮エキスの量産商品化に向けて、開発を進めていくとともにその作用メカニズムについても更に研究していく予定にしております。

リリース全文ダウンロード

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