第63回日本栄養食糧学会 | 発表報告

イベント情報

2009年5月20日~22日の3日間、長崎市のブリックホールおよび周辺施設において、第63回日本栄養・食糧学会が開催されました。年次大会が九州において開催されたのはこれまで4回で、うち3回は福岡市、1回は沖縄県で、長崎市で開催されるのは第63回大会が初めてとのことです。

第63回日本栄養食糧学会

今回の学会では、「β-クリプトキサンチンを含有するミカンエキス飲料がメタボリックシンドローム予備群のヒトに及ぼす影響」という題で発表を行いました。発表は最終日の最後の演題でしたが、大勢の方々にお越しいただき、前回大会での発表に続き、今回もヒトでの試験結果の有用性を改めて示唆できたと考えております。

発表要旨は以下の通りです。

【目的】

温州ミカン(Citrus unshiu Marc.)の果汁から得られる沈殿画分(ミカンエキス)には高濃度のβ-クリプトキサンチン(β-CRP)が含まれる。最近の研究でβ-CRPは、PPARγのアンタゴニスト作用を有し、脂質生成に関わる遺伝子の発現量を減少させ、肥満・糖尿病モデルマウスにおいて糖・脂質代謝を改善することが見出されている。一方、我々は昨年の本学会において、本エキスを用いたβ-CRP高用量飲料の反復摂取によってメタボリックシンドローム(Met.S)予備群の脂質代謝指標が改善されたことを報告した。そこで今回はβ-CRP量を低減した3用量の被験食を用い、期間と規模を拡げて検討を行った。

【方法】

被験者は、肥満、肥満傾向または腹囲が異常高値で、血液検査の脂質代謝項目が異常またはそれに近いMet.S予備群の成人男女60名とした。被験食は本エキス2,6および12g/day(β-CRPとしてそれぞれ1,3および6mg/day)を含む飲料として、それぞれの用量群に分かれて12週間連続摂取し、摂取前、摂取6週後と12週後に尿、血液検査、身体計測および診察を行った。なお本試験はヘルシンキ宣言の精神に則り、同仁会クリニックヒト試験倫理委員会の承認を経て、同院(ヒト試験責任医師:松井道宣)で実施され、被験者は試験の内容を十分に理解し、同意書を提出して自主的に参加した。

【結果および考察】

用量群での群間差が認められなかったため、全例の評価とした。摂取前から摂取12週後の変化(平均値±SEM)は、LDL-Cは138.2±3.4→129.1±3.8mg/dLと有意に減少し(p<0.001, Dunnet)、また腹囲も92.5±1.0→89.9±0.9mg/dLと有意に減少した(p<0.001, Dunnet)。β-CRPの体内動態の特徴として反復摂取で血中や組織へ徐々に蓄積されることから、今回の12週間では3用量のいずれも血中濃度等が有効量に達したものと推察された。以上により、本エキスはβ-CRPの1mg/dayにおいてもMet.Sや動脈硬化の予防および進展阻止に有用である可能性が示唆された。

今回の発表においては、昨年発表したヒト試験結果での用量よりも、さらに低用量で「クリプトベータ」の有用性を示すことができました。今後ともβ-クリプトキサンチンのメタボリックシンドロームに対する作用メカニズムの解明を更に進め、より信頼性の高いエビデンスを提供するとともに、β-クリプトキサンチン高含有原料「クリプトベータ」の販売に努めてまいります。

ご多忙中にも関わらず、発表にお越しいただいた皆様におかれましては、誠にありがとうございました。

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