学術情報
糖化関連の書籍
「AGEsと老化」
AGEsと老化
- AGEsと老化
- 太田博明 監修 山岸昌一 編集
- 2013年1月11日発行、B5判変形、280頁、¥4,700(本体)
- メディカルレビュー社
- http://www.m-review.co.jp/book/detail/978-4-7792-1005-1
内容
人生90年時代の折り返し点である45歳くらいから,エストロゲンの低下・加齢・生活習慣の揺るぎから酸化ストレスが徐々に亢進し,やがて各種の代謝異常が個人に集積して,骨,脂質・脂肪,血管病変の連関により,生活習慣病が確立する。一方,時を同じくして,各臓器においては細胞レベル,組織レベル,臓器レベルで老化が進むことにより,免疫力が低下し,易感染性や易腫瘍性となり,感染症や悪性腫瘍が確立し,75歳以降には2人に1人が人生の終焉を迎える。
このような背景には,酸化ストレスの亢進があると専ら考えられていたが,その源流には,糖化ストレスの亢進があるのではと,近年考えられるようになった。すなわち,老化とともに生体内では,非酵素的糖化反応により終末糖化産物(advanced glycation end products ; AGEs)が生成され,各種疾患の発症や進展にかかわることが報告されている。さらにこのAGEsは近年,加齢や糖尿病状態で促進的に形成される,劣化した糖化物質であることから,老化現象とのかかわりを超えて,その元凶となる原因物質ともいわれ始めている。
本書は,急増する高血圧や糖尿病,さらには骨粗鬆症をはじめとする変形性関節症やサルコペニア(筋肉減少症)などの運動器疾患や認知症などの各種老年疾患の病態についてAGEs-RAGE系という新しい視点から編纂されており、AGEsのかかわりを基礎分野から最先端の臨床的側面まで網羅できていると思われる。
目次
序説 超高齢社会と老化にかかわる諸問題
Chapter 1 AGEs化反応の基礎
メイラード反応の歴史/高橋素子/谷口直之
食品におけるAGEs化反応/木苗直秀
AGEs化反応の生化学/崎山晴彦/鈴木敬一郎
AGEsの化学構造/渡辺寛人/早瀬文孝
酸化的タンパク修飾とAGEs:診断と治療/段 孝/宮田敏男
グリコトキシンとしてのAGEs/柳澤克之
AGEsとポリオール経路のクロストーク/矢部千尋
バイオマーカーとしてのAGEs/宮田 哲
AGEs形成阻害化合物/永井竜児/藤原章雄
AGEs受容体/深水 圭/奥田誠也
Chapter 2 AGEsと疾患
1.AGEsと糖尿病網膜症/加治優一
2.AGEsと糖尿病性腎症/城 愛理/稲城玲子/南学正臣
3.AGEsと糖尿病性神経障害/高橋一徳/水上浩哉/八木橋操六
4.AGEsと糖尿病性大血管症/山岸昌一
5.AGEsと動脈硬化症の石灰化/倉林正彦
6.AGEsと骨粗鬆症/斎藤 充
7.AGEsとOPLL/津留美智代/密川 守/佐藤公昭/永田見生
8.AGEsと筋萎縮/門間陽樹/永富良一
9.AGEsとRA/影山康徳
10.AGEsと加齢黄斑変性/本田 茂
11.AGEsとNASH/兵庫秀幸/茶山一彰/山岸昌一
12.AGEsとインスリン抵抗性/久保田浩之/山岸昌一
13.AGEsと歯周病/永田俊彦
14.AGEsとアルツハイマー病・神経変性疾患/竹内正義
15.AGEsと皮膚疾患・皮膚老化/多島新吾
16.AGEsと生殖医療/神野正雄
COLUMN
AGEs:糖尿病と癌を結ぶミッシングリンク/山岸昌一
AGEsとエイジング―ボルチモア加齢縦断研究からの考察―/山岸昌一
RAGEをrageに/山岸昌一