カモミール中のアンチエイジング成分を同定

プレスリリース

岡山理科大学、アークレイ株式会社、同志社大学アンチエイジングリサーチセンターは、日本生薬学会 第53回年会(9月29日~30日開催)にて、カモミール中の抗メイラード反応作用を有するアンチエイジング成分としてカマメロサイドを同定し、その成果を発表しました。

要旨

岡山理科大学、アークレイ株式会社、同志社大学アンチエイジングリサーチセンターは、これまで糖尿病合併症あるいは老化因子の一つとしてメイラード反応(※)をとらえ、メイラード反応阻害効果を有する天然物のスクリーニングを行い、4種類のハーブ混合物に活性があることを見出しました。(Journal of Nutrition Health and Aging投稿中)

今回、4種類のハーブのうち、カモミール中の活性成分の一つとして、カマメロサイドを同定し、この結果について、第53回日本生薬学会(2006年9月29日~30日、日本薬科大学・埼玉)においてポスター発表を行いました。

発表では、カモミール中の抗メイラード物質として、カマメロサイドを単離同定し、メイラード反応の最終糖化生成物(AGEs)(※※)のうち、CML(カルボキシメチルリジン)、ペントシジンを特異的に阻害することについて発表しました(図1参照)。また、このカマメロサイドにはNF-κB(※※※)の阻害活性を有していることもわかりました。

このカマメロサイドを含むカモミール、さらにドクダミ、セイヨウサンザシ、ブドウ葉の4種類の混合ハーブ抽出物である『AGハーブMIX』はアークレイが販売準備を進めている機能性素材で、メイラード反応を老化危険因子のひとつと捉えたアンチエイジング成分として期待されています。この4種類を組み合わすことで、種々の段階でのメイラード反応を抑制することが期待されます。今後は、カマメロサイドだけではなく、その他の活性成分についても検討していく予定です。

■メイラード反応:
●加齢や糖尿病の進行に伴って起こる糖とタンパク質との化学反応の一つで、近年、老化危険因子のひとつとてしても考えられています。
■AGEs:
●メイラード反応により生じる最終糖化生成物の総称で、多種類が同定されており、糖尿病患者など生活習慣病を有する人では健常者に比べ、蓄積が進んでいるといわれています。
■NF-κB:
●炎症の発現等に関与する転写因子(遺伝子の発現を調節する細胞内のタンパク質)

背景

  • アークレイ株式会社は国内大手の臨床検査機器と体外診断薬のメーカーで、糖尿病患者が使用する血糖自己測定機では国内シェア60%を占めています。健康科学という独自の事業領域を設定し、2006年6月には機能性素材事業への参入を果たしています。
  • アークレイは、厳しい食事制限下にある生活習慣病患者や健康を意識する方々に様々な商品を提案し、物質面と精神面の両方をケアすることでQOL(Quality Of Life=生活の質)の維持・向上に貢献いたします。また、素材ビジネスを通じて、自社技術にとらわれず、幅広く社会に貢献する活動を行っていきます。
  • アンチエイジングは「抗加齢」とも呼ばれ、近年注目されている新しい分野であり、健康長寿を目指す研究が医学、薬学、栄養学など様々な方面で進んでおります。また、「老化の治療」から、アンチエイジング医学と呼ばれる「それぞれの年齢において最もイキイキとした健康」を目的とした学問も急速に発展をとげております。

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