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「糖化による疾患と抗糖化食品・素材」

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糖化による疾患と抗糖化食品・素材

 

内容

近年特に脚光を浴びてきている老化を促進する危険因子である「糖化ならび抗糖化」について各領域の最新の知見を取り上げた書籍です。

糖化反応後期生成物(Advanced Glycation Endproducts : AGEs)は糖尿病合併症や動脈硬化などの生活習慣病のみならず、様々な加齢関連疾患でその発症および進展に関与することが明らかになっており、各章ごとにわかりやすくまとめれています。

また、市場においては抗糖化素材を用いた機能性食品、化粧品も続々と登場し、各素材ごとにエビデンスデータを中心に紹介されています。

本書では、多岐にわたるAGEs研究の最先端領域についてわかりやすく書かれているだけではなく、食育の観点から、また臨床現場においても人々の健康増進に貢献できるように配慮されています。

目次

【序編 総論】

第1章 加齢関連疾患におけるAGEsの意義―生活習慣における抗糖化の重要性―(米井嘉一)
1. はじめに―アンチエイジングとは―
2. 糖化により障害を受ける機能
2.1 血管年齢―動脈硬化の進行度―
2.2 骨年齢
2.3 AGEsの蓄積による障害
3. 抗糖化ストレス緩和のために強化したい機能
3.1 ホルモン年齢
3.1.1 成長ホルモン(growth hormone:GH)/インスリン様成長因子 I(insulin-like growth factor-I:IGF-I)
3.1.2 DHEA-s(dehydroepiandrosterone-sulfate)
3.1.3 メラトニン
3.2 筋年齢
4. 抗糖化ストレスを緩和するための生活指導
4.1 精神指導
4.2 運動指導
4.3 食事指導
5. おわりに―抗糖化物質を摂取する前に―

第2章 糖尿病における糖化反応の位置づけ(久保田浩之,山本博)
1. はじめに
2. 蛋白の非酵素的糖化
2.1 メイラード反応前期反応
2.2 糖尿病マーカーとしての糖化蛋白
2.2.1 ヘモグロビンA1c(hemoglobin A1c,HbA1c)
2.2.2 グリコアルブミン
2.3 メイラード反応の後期反応
2.4 AGEの細胞障害メカニズム
2.4.1 細胞外蛋白質の機能低下
2.4.2 受容体を介する情報伝達・細胞応答
2.4.3 細胞内グリケーション
3. 酸化ストレス
4. ポリオール代謝経路
5. ヘキソサミン経路
6. PKC
7. おわりに

第3章 アンチエイジングを目指したAGEs阻害剤の開発(永井竜児)
1. はじめに
2. AGEs生成経路について
3. 阻害剤戦略
3.1 カルボニルトラップ型
3.2 カルボニル化合物の生成抑制
3.3 金属キレーターおよびAGEsブレーカー
4. AGEs生成阻害剤探索の新戦略
5. おわりに

【第1編 糖化による疾患】

第4章 糖化と糖尿病(川上正舒)
1. はじめに
2. 生体内におけるMaillard反応(glycation グリケーション)
3. ヘモグロビンA1cと糖尿病
4. ヘモグロビンA1cの臨床応用
5. 血漿タンパクの糖化とその臨床応用
6. AGE:Advanced Glycation End-products
6.1 糖化蛋白の生物作用と糖尿病合併症
6.1.1 AGE
6.1.2 アマドリ化合物
7. AGEの代謝
7.1 内因性AGE
7.2 外因性AGE
7.3 AGEの除去
8. AGE阻害薬による糖尿病合併症の予防と治療への期待
8.1 AGEの生成の抑制
8.2 架橋切断薬(Crosslink breaker)
8.3 AGE受容体の阻害
9. おわりに

第5章 アルツハイマー病とRAGE(杉原崇大,山本博)
1. はじめに
2. アルツハイマー病とAβ
3. RAGEとAβの相互作用と細胞内シグナリング
4. 血管セオリー:Aβの脳への取り込みにおけるRAGEの役割
5. RAGEの分子多様性とアルツハイマー病
6. アルツハイマー病はRAGEの制御によって克服できるか?
7. まとめ

第6章 加齢に伴う骨へのAGEsの蓄積と骨折リスク(斎藤充)
1. はじめに
2. 骨強度=骨密度+骨質
3. 骨粗鬆症における骨質因子としてのコラーゲンの役割
4. コラーゲンの老化架橋ペントシジン
5. 加齢に伴う老化架橋ペントシジンの変化
6. 骨脆弱化要因としての老化架橋ペントシジン
7. 原発性骨粗鬆症例における骨ペントシジンの過形成
8. 糖尿病性骨脆弱化における骨ペントシジン
9. おわりに

第7章 動脈硬化と糖化(坂田則行,今永至信)
1. はじめに
2. 糖化と酸化
3. 細胞・線維性内膜肥厚と糖化
4. 粥状硬化とAGE
5. 動脈石灰化とAGE
6. おわりに

第8章 腎疾患における酸化/カルボニルストレス(森建文,宮田敏男,伊藤貞嘉)
1. 概要
2. はじめに
3. なぜ慢性腎臓病か
4. 食塩とレニン・アンジオテンシン系
5. 腎臓と酸化ストレス
6. 慢性腎臓病とカルボニルストレス

第9章 加齢性眼疾患の発症における蛋白糖化最終産物(加治優一)
1. 体内でも生じる糖化反応
2. 蛋白糖化最終産物と加齢に伴う体の変化
3. 失明の大きな原因を占める加齢性眼疾患
4. 加齢性眼疾患の特徴
5. 加齢性眼疾患における蛋白糖化最終産物
5.1 白内障
5.2 瞼裂斑
5.3 climatic droplet keratopathy
5.4 加齢黄斑変性症
6. 抗糖化により加齢性眼疾患は予防できるか?

第10章 糖化と皮膚の老化(市橋正光)
1. はじめに
2. 皮膚の光老化と糖化
3. 糖化コラーゲンとはシワ形成が関与する
4. AGEコントロールで皮膚の老化の抑制はどこまで可能か?

第11章 脂質グリケーション産物のLC-UV/MSとLC-MS/MS(宮澤陽夫)
1. 概要
2. はじめに
3. UVラベル化によるAmadori-PEのLC-UV/MS
3.1 Amadori-PEのUVラベル化
3.2 実験動物の血液に存在するAmadori-PE
4. リニアイオントラップLC-MS/MSによるAmadori-PEの分析
4.1 Amadori-PEのMS/MSによる分析
4.2 LC-MS/MSニュートラルロススキャンによる糖尿病者血漿に存在するAmadori-PEの定性
4.3 LC-MS/MSのMRMによるヒト血漿に存在するAmadori-PEの定量
5. まとめ

第12章 AGE受容体RAGEの役割(山本靖彦,山本博)
1. はじめに
2. RAGE
3. RAGEリガンド
4. RAGE細胞内シグナル経路
5. RAGE遺伝子改変マウス
6. RAGEの分子多様性
7. RAGE遺伝子変異と糖尿病腎症
8. RAGE以外のAGE結合タンパク・AGE受容体
9. RAGE作用阻害による加齢関連疾患の予防・治療の可能性
10. おわりに

【第2編 抗糖化素材と応用】

第13章 抗糖化素材
1. アルギニン(の糖化)(飯嶋克昌)
1.1 老化・疾患原因としてのAGEs
1.2 カルボキシメチルアルギニン(CMA)
1.3 α-ジカルボニル化合物とアルギニン
1.4 アルギニンによる身代わりグリケーション
2. アミノグアニジン(和田龍一)
2.1 アミノグアニジンの特徴
2.1.1 化学的性状
2.1.2 生態内代謝
2.1.3 薬理作用
2.1.4 有害作用
2.2 アミノグアニジンの応用
2.2.1 糖尿病合併症に対する治療応用
2.2.2 食品化学応用
3. α-リポ酸(野瀬隆之)
3.1 緒論
3.1.1 はじめに
3.1.2 構造と性質
3.1.3 生化学的役割
3.1.4 現在までの用途
3.1.5 安全性
3.2 本論
3.2.1 糖尿病への作用
3.2.2 糖尿病の合併症への作用
3.3 結論
4. ビタミン(宮澤陽夫)
4.1 はじめに
4.2 タンパク質のグリケーション反応を阻害する成分
4.3 脂質のグリケーション
4.3.1 脂質グリケーション阻害成分の探索
4.3.2 ピリドキサール5′-リン酸による脂質グリケーションの抑制作用
4.4 おわりに
5. 天然物由来AGEs生成抑制化合物(藤原章雄,池田剛,永井竜児)
5.1 はじめに
5.2 実験方法
5.3 結果
5.4 考察
6. ルチン(長澤孝志,貴戸武利)
6.1 ルチン
6.2 αG-ルチン
6.3 αG-ルチンの抗酸化性
6.4 αG-ルチンの抗グリケーション活性
6.5 その他の天然素材の抗グリケーション活性

第14章 抗糖化食品素材と応用
1. カモミール(松浦信康)
1.1 カモミールとは
1.2 抗糖化活性評価方法
1.3 活性成分の単離と構造解析
1.4 カマメロサイドによるタンパク質糖化反応阻害活性に基づくNF-κB抑制活性
1.5 カマメロサイドによるNF-κB抑制活性
1.6 総括
2. ドクダミ(田村隆朗)
2.1 はじめに
2.2 クエルシトリンの薬理作用
2.3 品質に関する問題
2.4 カプセル型食品の抗糖化効果
3. セイヨウサンザシ(河合博成)
3.1 セイヨウサンザシとは
3.2 抗糖化活性とその成分
3.2.1 糖化反応生成物4種に対する抗糖化活性
3.2.2 ペントシジン生成阻害活性とその画分
3.2.3 抗糖化活性成分
3.2.4 タンパク質架橋形成阻害活性
3.3 まとめ
4. アセロラ(花村高行,内田絵理子,青木仁史)
4.1 概要
4.2 完熟アセロラポリフェノールの抗糖化作用
4.2.1 血糖値上昇抑制作用
4.2.2 AGEs生成抑制作用
4.3 種子および葉の抗糖化作用
4.4 食品などへの応用と今後の展望
5. サクラ(下田博司)
5.1 はじめに
5.2 サクラ花部の含有成分
5.3 AGEs産生抑制作用
5.4 AGEsによる線維芽細胞のアポトーシスに及ぼす作用
5.5 糖化線維芽細胞のコラーゲン格子形成に及ぼす作用
5.6 おわりに
6. オリーブ(増田修一)
7. 茶葉抽出物によるAGEs生成抑制効果の検討(木苗直秀)
7.1 はじめに
7.2 方法
7.2.1 茶葉抽出物の調製
7.2.2 試験管内でのAGEs生成抑制効果
7.2.3 Superoxide dismutase(SOD)様作用の測定
7.2.4 動物実験
7.3 結果
7.4 考察
8. 混合ハーブ(八木雅之)
8.1 混合ハーブエキス
8.2 混合ハーブエキスのin vitro抗糖化作用
8.3 ストレプトゾトシン誘発糖尿病ラットに対する投与試験
8.4 糖尿病予備群を対象とした摂取試験
8.5 糖尿病患者に対する摂取試験
8.6 皮膚中AGEs蓄積抑制作用
8.7 混合ハーブエキスの抗糖化作用
9. アムラとは(長戸有希子,加藤篤史,ジュネジャ・レカ・ラジュ)
9.1 アムラとは
9.2 アムラの成分
9.3 抗糖化素材としてのアムラ
9.3.1 アムラの抗酸化作用
9.3.2 アムラ果実水抽出物のAGEs産生抑制効果
9.3.3 糖尿病モデルラットへの効果
9.4 抗糖化から老化抑制へ